ベクトルの成分は
とLorentz変換されるとする.またベクトルの基底は,ベクトル自体はLorentz不変で
とならないといけないので
と
を満たす逆の変換がされる.ベクトルの基底を時空代数の基底の計算規則を満たすものと考えるとMaxwell方程式をうまく記述できることが知られている.スカラー場はスカラーなのでそれ以上時空代数がどうとかの議論はあまりないと思うがDirac場はどうなのということをざっくり大雑把に考えたい.まずDirac行列であるが時空代数の(正規直交の場合の)基底と同じ計算規則を満たすので同じものと考えたい.しかし
とLorentz不変な定数行列でこの違いをどうにかしなければならない.そこで思いついたのはDirac行列は時空代数の基底を行列力学によく登場する成分表示して行列した行列表現したものなのではという意見である.そう考えるならば列のスピノルも同様に行列表現したものということになる.量子力学ではCONSを選んで成分表示するが,スピノルの空間で内積や共役が定義できるか定かでないのでHilbert空間と区別するために二重のブラケットを用い,CONSではなくとりあえず双対基底を考える.(行列表現してない)スピノルは
とかかれ,スピノルの成分は
とLorentz変換されるとする.スピノルの基底はベクトル同様,スピノル自体はLorentz不変だとすると
と逆変換される.ここでスピノルの基底の双対基底
を考える.双対基底は
でないといけないので
と成分と同じ変換がされる.これらをつかって行列表現をしたい.スピノルは単純に
と成分表示され,これを番目がでそれ以外の行列
と線形結合させ
と行列表現する.また
とすれば
と,普通のDiracスピノルでよく見るLorentz変換の式が得られる.さて問題の時空代数の基底であるが
と成分表示できたとしよう.これを同様に
と行列表現したとする.これがLorentz変換に対し定数行列であればとりあえずの目標は達成されよう.
目標が達成された.
ちなみに(曲率0の)Dirac方程式は坂本場の量子論に代表される流儀に合うようにすると,Dirac作用素
とスピノル場
を使って
と書ける.ももLorentz不変であり,式に登場する文字全て座標に依存しない.これがDirac方程式と等価であることはこの方程式の両辺に双対基底を作用させて行列表示することで確かめられる.
しかし例えば共役がないのでスピノルの双対をどう定めるのかなど,いろいろありそうだ.