こんにちは.うべです.発見があったので137億年ぶりにはてなブログを書きます.
正準方程式は一般化座標・一般化運動量,あるいはもっと一般的に正準変換されて正準共役量
に対し行列を使って
と書ける.またPoisson括弧は相空間上関数に対し
と書ける.これらはシンプレクティック形式によるHamilton形式をDarboux基底での行列表現で書き換えたものである.相空間上の一般の基底での座標では
によって
と変換される.この合同な変換のうちが不変なものを物理では正準変化といい,数学ではシンプレクティック同相写像という.
今日では擬Riemann幾何学もシンプレクティック幾何学も可微分多様体上で展開される幾何学は微分形式と方向微分(接ベクトル)を用いて記述される.しかしこれは私自身のマインドのお話であるが,双線型形式を備えた可微分多様体はその双線型形式についての商代数で記述する方が自然だと思う.つまり擬Riemann多様体は非退化対称双線型形式なので(非退化実)Clifford代数,シンプレクティック多様体は非退化反対称双線型形式なのでWeyl代数によって記述されるべきだと考える.というわけで今回はHamilton形式をWeyl代数で記述してみる.ここでは微分記号を
とする.
次元シンプレクティック多様体上のある点近傍を考え,局所座標系を与える.局所座標の偏微分による基底に対しシンプレクティック形式の成分を
と定める.この接空間のWeyl代数,つまりテンソル代数の,接空間の元に対して
の形の元が生成するイデアルによる商代数を考える.この商によってテンソル積に継承される積を並置で表し,偏微分の基底に対応する元は,それ以外の接空間の元やシンプレクティック形式の文字は接空間のものを使う.すると接空間の元(に対応するWeyl代数の元)に対し
が成り立つことが書ける.ここで交換子
を定める.が接空間の元ならば
が成り立つ.またシンプレクティック形式の成分の逆を
と定め,双対基底
を定める.これは
を満たす.そしてWeyl代数におけるDirac作用素を
と定める.ちなみに接空間の基底として局所座標の偏微分を選んだので接空間は方向微分の集合であるが,それに対応する商代数の基底は,商代数は接空間のテンソル代数の集合の集合であり,その元は接空間のテンソル代数の「集合」であるため,基底には微分的な構造は継承されない.
これを用いてHamilton形式はかなり自然に記述できる.ここでは場はよく分かっていないので粒子(運動のパラメータ:,正準変数:)のものを考える.まずHamiltonベクトル場はハミルトニアンに対しと書けて,正準方程式は相空間上の速度に対し
と書ける.またPoisson括弧は相空間上の可微分関数に対し
と書ける.
実用性は知らん.